ホーム > GGSコラム第2弾 > 交通事故から「国民医療費」を考える

交通事故から「国民医療費」を考える

 10月下旬、携帯が鳴りました。妻からで、「自転車に乗っていたら車が飛び出してきてぶつかってきた」といいます。「現場で膝が痛いまま動けない」。私は「必ず救急車を呼びなさい。自宅近くの病院に連れて行ってもらいなさい」と伝えました。しばらくして「○○病院に運ばれた」というので、仕事中でしたが駆けつけました。すると、軽いと思われた怪我が、実は全治2か月の骨折とわかりました。

 数日後、妻のもとに大手M海上火災保険会社の男が来ました。彼は「あなたにも責任があるから健康保険で、自分で治療してください」と、とんでもないことを言って帰りました。自転車通行可の歩道上に飛び出したのは明らかに車です。そこで、その男を呼び出して、話を聴いてさらに驚きました。「交通事故の8割は健康保険で治療されています」。

 あまりにめちゃめちゃな話だったため、今度は彼の上司に出てもらいました。喫茶店で会い、「交通事故の8割は健康保険で治療されているとは、どんな資料や根拠があるのか」と迫りましたが、ノラリクラリして答えません。

 実は、この日の前に日経新聞(11月2日)に次のような記事が出ていました。「2011年度に自動車事故で健康保険を利用した人は10.5%にとどまっている(原文)」。記事は「一般に健康保険を利用した方が、医療費は少なくて済む。」と続きます。私はこれを社会保険労務士として興味深く読んでいました。この損保会社関係が書かかせたと思われるような「提灯記事」には驚くばかりです。10.5%でも多すぎるのではないでしょうか。

 現在、医療費はうなぎ上りで、健康保険関係はどこも赤字です。一方、加害者が明確な交通事故の医療費まで健康保険を使わせるのなら「損保の自動車保険は丸儲け」ではないでしょうか。大手ですらこの程度なら、その他はどうなのかと心配になります。それにしてもM海上火災保険会社のウソは、怒りを覚えます。

 結局、妻は38日間の入院となり、退院した現在でもリハビリ通院を行っています。杖はまだ離せません。しかし、病院の対応は素晴らしいものでした。若い看護師、ヘルパーさんが活き活きと働き、患者の話をよく聞いて、アドバイスとサポートをしていました。病院でありながら、看護師や従業員が明るく元気で、職員満足=ESが感じられました。

このような医療現場の大きな変化を「入院患者の家族」として体験させてもらったのは貴重でした。この病院は、「約200床の地域医療支援病院」ですが、「日本医療機能評価機構認定」の病院でもあります。

この病院の体制が、家族としてありがたかったのは、病室の遠くない廊下の一定の場所を「携帯電話使用可」にしてあることでした。妻と2人暮らしで出張が多い私には、車いすの妻と連絡を取るのに大変に助かりました。

医療機関のコンサルタントとして、今回の妻の入院は、医療の質や患者のサポートだけでなく、その「家族との連絡方法」までの細かな配慮が良い勉強になりました。

さて、12月20日の新聞記事では、2014年の予算編成では「診療報酬」の見直しをプラス0.1%と報じています。それが問題のように報じるマスコミもあります。確かに医療費は拡大を続けています。

 しかし、同日の記事に、「東電の融資枠9兆円」と掲載がありました。ゼネコンによる「放射能を帯びた落ち葉を川に捨て、また除染を実施しているように見せかける作業」が告発されています。そんなところに国民のお金を使うなら、国民が健康を取り戻すために、若い人も頑張る医療現場に使うお金や融資枠は、生きたお金ではないでしょうか。

(手島伸夫)

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

ホーム > GGSコラム第2弾 > 交通事故から「国民医療費」を考える

検索
おすすめ書籍
改訂版業種把握読本 改訂版業種把握読本

業種ごとに特有の内外環境を、各業種の専門コンサルが書き下ろし、中小企業支援やビジネスヒントの気づきの一助となるビジネス書。

お問い合わせ
固定ページ
金融ブックス
サイトポリシー
プライバシーポリシー

ページの上部に戻る