ホーム > GGSコラム第2弾 > 自転車を取り巻く環境の変化

自転車を取り巻く環境の変化

 最近の10年間の自転車の販売台数の推移をみると、年ごとに若干の増減はあるものの900万台~1100万台の間でほぼ安定しています。しかし、社会環境の変化で消費者ニーズが大きく変わり、これが市場環境を変化させ、業界も変えつつあります。最近目につく環境の変化には次のようなものがあります。

  かつて自転車の9割以上は実用品として購入されたため、耐久性、機能、材質の品質等の評価で市場価値が決まりました。そしてファッション性は評価をされるものの、その評価が市場における付加価値を生み出す可能性は少ないものでした。
中津留先生1しかし、遊び、スポーツなどの用途が広がったことで、最近はファッション性が重要な価値を持つようになりました。ファッションにコストを掛けてもそれを価格に転嫁でき、これが市場価値を生み出す環境になったため、ファッション性の高いものが生産され、その販売が増えてきました。これに合わせて販売店の陳列方法や販売方法も変わり、最近はお洒落な店舗が目立つようになりました。(一財)自転車産業振興協会のデータで平成22年以後の1店当たりの販売台数の推移をみると、カテゴリー別の販売比率も販売台数はほぼ変わっていません。また販売価格もスポーツ車の平均単価が若干上がった程度で、他はほぼ横ばいです。このことから、自転車は成熟市場であり、定量的にはほぼ変わっていないといえます。しかし、質的には大きく変化しています。実用品時代は価格が重要な購買基準になっていたため、価格競争が激しく、利益の取りにくい商売でした。ところが最近のようにファッション性などの知的な価値が評価基準になると、創意工夫により利益を生み出すことが可能になったため、新しいコンセプトの店が多数参入するようになりました。この影響で市場では新陳代謝が活発に進んでいますので、数年後には業界環境も大きく変わると予想されます。

 一方で、自転車を通勤に使う傾向が顕著になっいます。多くの人々が「自転車通勤はカッコいい」と感じるようになったためです。このため、通勤にもファッション性の高い自転車を求めますので、この分野での需要は増加すると予測します。また業務等で都心の近距離間を移動する場合の交通手段として自転車が注目されており、この需要も増加するとみられます。
中津留先生2ただ、地価の高い都心に広い駐輪場を確保することが難しいため、個々の所有でなにして共用する考えが広まりつつあります。それにしても、一定のレンタサイクルを駐輪する場所の確保の問題がありますが、採算的にこれが解決できる見通しが立てば、今後急速にこの事業が広まる可能性があります。    
 なお、自転車交通のインフラ整備として、各地で自転車専用道の建設が進んでおり、業界にとっての追い風になっています。
 一方、国あるいは自治体が交通ルールに関する法制度を整備しつつありますが、東京都では平成25年7月に「自転車条例」を制定し、従前に比べてきめ細かいルールを設定しました。                              
(中津留 準)

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

ホーム > GGSコラム第2弾 > 自転車を取り巻く環境の変化

検索
おすすめ書籍
改訂版業種把握読本 改訂版業種把握読本

業種ごとに特有の内外環境を、各業種の専門コンサルが書き下ろし、中小企業支援やビジネスヒントの気づきの一助となるビジネス書。

お問い合わせ
固定ページ
金融ブックス
サイトポリシー
プライバシーポリシー

ページの上部に戻る