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旅行業の新たな業態 ― ソーシャル旅行サービス

 最近、旅に出かけられたことはありますか?それはどなたとでしたか?

  会ったこともない他人同士で旅を企画し、実際に旅に出かける。そんな新しい旅行スタイルが広まりつつあります。それは、「ソーシャル旅行」といわれるもので、ユーザーが通常の旅行会社では企画されないような独自のツアーを企画し、その企画に共感した他のユーザーが集まり、WEB上であれこれと意見を交わしながら詳細を決めていく。そして一定数の参加者が集まれば、最後はその企画が現実のものとなり、実際に見知らぬ者同士で旅に出るというものです。「旅行会社のツアーでは物足りないけど、自分一人で旅にでるのはちょっと寂しい」、「友達と行くにもお互いの休みが合わない」といった旅行者にとって、オリジナルな旅の企画と、旅を通じた新しい出会いといった要素が多くのユーザーを惹きつけ、注目を集めています。

 このような新しい旅行スタイルを提供するのは、「ソーシャル旅行サービス」といわれる新しい業態(WEBサービス)で、ユーザーが旅を企画し、ユーザー同士で計画を膨らませるWEBサイトを運営しています。従来の旅行会社がパッケージツアーを企画した場合には、それを販売するために、店舗を置いたり、パンフレットを配布したり、その他の販売促進策を実施することで、旅行の参加者を集める必要があり、これにはコストがかかります。しかし、ソーシャル旅行では、実際に旅行に行こうという人たちが自らが行きたい旅行のプランを練り上げるので、すでに参加者が決まっており、販促によって参加者を集める必要がありません。そこで、WEBの運営会社が、ユーザーたちが練り上げた企画を参加者とセット(送客)で従来の旅行会社に提案、販売することで、ツアー費用の一部が同社の売上となる仕組みとなっています。そして、提案を受けた従来型の旅行会社では、その企画・設計に応じた交通手段や宿泊等の手配を行います。

 このように、ソーシャル旅行サービスは、従来の旅行会社の「代替」ではありませんが、提案を受け、企画・設計通りの手配を行うだけの旅行会社では、付加価値は生みづらいと言えます。これまでにも、旅行者による個人手配、LCC(ローコストキャリアー)の台頭による旅行会社への販売手数料の撤廃など、旅行会社の収益構造が近年大きく崩れてきたことは「業種把握読本」や過去のコラムでも述べてきましたが、このソーシャル旅行サービスの広がりも、今後の旅行会社の収益構造に大きく影響を与えるものと思われます。

 今後、自社で魅力的なツアーを企画できない旅行会社はますます利益率の低下を余儀なくされるものと思われます。そこで、販促費や一般管理費を極限にまで抑えながら、ソーシャル旅行サービスを活用していくのか、もしくは手配における専門性を磨き武器とするのか、または東京オリンピックに向けて増加が予想されるインバウンド旅行に集中・転換していくのかなど、旅行会社において今後の戦略方針がより一層重要になると思われます。
犬飼先生

 

 

 

 

 

 

   出典 trippiece.com 「ラオスで象使いになろう」より

(犬飼あゆみ)

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