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植物工場の最近の動向について

 野菜などの園芸作物は、長期保存が利かず、周年出荷を可能とするためには施設園芸が欠かせません。施設園芸は平成11年をピークとして耕地面積が減る一方、近年は高度な栽培ノウハウを盛り込んだ植物工場が増えつつあります。
 今回は、昨今脚光を浴びつつある植物工場についての動向を説明します。
1.植物工場とは
 農水省のHPでは「植物工場とは、施設内の温度、光、炭酸ガス、養液などの環境条件を自動制御装置で最適な状態に保ち、作物の播種、移植、収穫、出荷調整まで、周年計画的に一貫して行う生産システムのこと」としていますが、今のところ公式な定義はないようです。
2.植物工場の種類
 植物工場は、光をどこから得るか?によって大きく三つに分けられます。青木先生1
①完全制御型(人工光型)
全ての光源を人工光に依存するタイプの植物工場です。
②太陽光型
光源をすべて太陽光に依存するタイプの植物工場です。
③太陽光併用型
太陽光と人工光とを併用するタイプの植物工場です。
3.植物工場の課題
 一番の課題は、植物工場は消費者の要望に基づいて開発された技術ではないので、消費者に対する直接的なメリットが見出せていない点です。
 そもそも植物工場とは、天候に左右されず安定した収量を確保したいという農業者の悲願を解決すべく生み出されました。このため、植物工場野菜が欲しいという、消費者からの求めはなく、そう言わせるだけの魅力も打ち出せていないのが現状です。他にも、コスト高、育てられる作物が限られるなどの課題があります。
4.植物工場の利点
 生産者目線では植物工場の利点は天候に左右されず安定的な収量が生産できるという点に尽きるのですが、消費者目線ではキャッチーで植物工場そのものが話題になり評判を呼びうる、という点が大きな利点と言えます。
 例えば、サブウェイの野菜ラボ(http://www.831lab.com/yasai_lab/marubuild.html)では、店舗の中心に植物工場のミニユニットを配置し、目新しい販促ディスプレイとして利用しつつ植物工場の普及を図る一つの仕組として活用しています。
また、大和ハウスが「アグリキューブ」という植物工場ユニットを外食産業向けに発売しています。これは地産地消ならぬ【店産店消】という流通経路を短くすることでコストダウンを実現すると同時に新鮮な食材の提供の実現を目指しています。https://www.daiwahouse.co.jp/release/20120321110106.html
以上のように、目指すことや在り方に応じて規模や機能を変えて作り込めるのも、植物工場の一つの利点と言えるかもしれません。
5.最近の技術
 ①栽培技術
 植物工場は、発芽から収穫までの間の植物の生育全体を、人工的な環境内でコントロールするため、さまざまなセンサーや制御装置を駆使して管理します。正に日本のお家芸の一つですので、さまざまなメーカーから工夫を凝らした生産管理システムが発売されています。
 また、各種センサーそのものや光源についてもメーカー各社が独自の開発を進めています。LEDを光源に使った植物工場もその一つで、植物の生長ステージに応じて光の波長青木先生3の成分を変え、より成長速度を速め生産性を高めようとしています。写真のようにピンク色の波長を強め、成果を出している植物工場もあります。
 ②機能性野菜
 植物工場では、栽培方法や環境をコントロールすることで、特定の栄養分などを強化することによる機能性の高い野菜の産出が可能です。現在、低カリウム野菜や低硝酸塩野菜、高ビタミン野菜などが研究・開発され、一部出荷も始まっています。
機能性野菜は、腎臓病患者や高齢者、子どもを持つ親などに高いニーズが見込まれ、さらなる技術開発が望まれる分野です。
露地栽培では環境をコントロールしきれないので機能性野菜の栽培は難しく、この分野は植物工場にとって一つの進むべき道であると言えるでしょう。
(青木洋人)

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