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業種業態ソリューション研究会

鞄・袋物業界とランドセル

 かつては、若い女性を問わず中年の女性も揃ってルイヴィトンに代表されるブランドのハンドバッグを持っていたことを覚えておられる方も多いでしょう。しかしながら最近のバッグ類をみると、コーチは多少目につくものの、他のブランドのハンドバッグ類がめっきり少なくなったことに気づかされます。 

 ブランドバッグは、「動く広告塔」と言われるほど、若い女性の心をとらえていましたが、現在ではそれほど重視されていないように思われます。レスポートサックはその例外とも言えますが数少ない例です。もちろん、少子高齢化の影響で生産年齢人口が8千万人を割り、特にファッションの動向に大きな影響を与える20歳代の女性の数も減少していることに影響されていることもあります。また、iPhone・iPad等に関心が移ったとも考えられます。

 しかしながら、原因はこれだけではないとおもわれます。

1.海外の有名ブランド(例えばベルサーチなど)が日本のメーカーや問屋にブランドのライセンスを行わず、自ら製造・販売しようとするようになったこと。

2.海外ブランド(ほとんどはフランス・イタリア)もヨーロッパで生産するのではなく、安い生産コストを求めて、中国に代表される東南アジアに生産拠点を設けていること。

3.従って品質が、かってのバッグのように高級感がなくなっていること。

 ところが最近ではメード・イン・ジャパンの製品への回帰が身の回り品全体で起こっています。今治のタオルなどはその代表例です。鞄・袋物も例外ではなくメード・イン・ジャパンが求められていますが、鞄・袋物の製造は革の厚みを縫製できるように薄くする革漉き、バッグに仕立てる下工程である革の裁断、最終的に製品に仕上げる縫製と分かれており、かばん袋物製造業者はほとんどを外部の職人に外注しています。それが本業界の低迷が長く続いたことから、日本人の職人が高齢化し後継ぎもいない状況となっています。 

 一方、日本製で頑張っているのがランドセル業界です。これは下記の理由によります。

1.少なくとも6年間は多少荒っぽい扱い方でも、壊れないことが必要なので日本製が重視されること。

2.購入するのが、大半は孫のために買うおじいさん、おばあさんであるので多少高くとも、購入にためらわないこと。少子高齢化で孫の数が少なく両親の親が健在という例が多いためと考えられます。

 テレビのコマーシャルを見ると、ハンドバッグのそれは見られないのに、ランドセルはよく見かけられます。これは両親だけではなく祖父母にも見てもらうためです。また、「土屋鞄」という鞄製造業者がありますが、ここでは自社内でランドセルを縫製するのを窓越しに顧客に見てもらい、購買に結び付ける仕掛けをしています。ただ、ランドセルはどちらかと言えば、鞄の縫製に近いのですが背の部分にクッションを入れる等の工夫が必要なので、今までの鞄袋物職人が、すぐにランドセル縫製職人になるのは難しいといえます。

(川田裕晧)

                                     

トラック運送業界の現状報告

1.円安とトラック運送業界

 2012年12月に第二次安倍内閣が発足し、アベノミクスという成長戦略を打ち出した結果、他の要因もありますが、今年に入り急激に円安が進みました。

 その結果、トラック運送業界では、燃料の軽油が高騰して経常収支の悪化をもたらしています。

 こうした環境下、全日本トラック業界と都道府県トラック業界は2013年5月23日に「燃料価格高騰経営危機突破全国総決起集会」を開催し、政府自民党に業界の窮状を訴え、支援策などの早急な実現を要望しました。この総決起大会はNHKニュースや、主要新聞紙朝刊に取り上げられました。全日本トラック協会によると、軽油の1円値上がりによりトラック運送業界全体で年間170億円の負債が増加する、とのことです(「広報とらっく」5月20日号より)。

 こうした事情を配慮し、国土交通省および経済産業省は5月28日、29日の両日、日本経済団体連合会(米倉弘昌会長)と日本商工会議所(岡村正会頭)に対して、軽油価格高騰下における適正取引推進に関する緊急協力要請を行いました。

 具体的な要請は次の通りです。中小企業が大多数を占めるトラック運送事業および国内海運事業において、燃料価格高騰分を反映した運賃収受を通じ、安定的な輸送力を確保することが大変重要とした上で、「燃料価格高騰分の運賃への転嫁は荷主の理解が重要」として、燃料サーチャージ導入への理解と、書面化等適正取引推進の協力要請を行いました。

※燃料サーチャージ:燃料とする油(灯油、軽油、重油など)の価格高騰時に、運賃とは別建てで徴収する料金のこと。

※書面化等適正取引推進:当業界の商慣習で特にスポットの運送業務は口頭での対応が多く、料金値上げなどが、大手の荷主に押し切られる場合が多い。これを改善し、事前に書面で適正に取引条件を提示して健全な取引を推進するもの。

2.トラック運送業界の現状と取り組み

 平成24年度の国土交通白書によると、トラック運送業者数は、平成19年に63,122者とピークに達しましたが、その後、若干の増減を繰り返し、約63,000者前後と横ばいで推移しています(「広報とらっく」7月15日号より)。しかし、景気の低迷に伴う荷動きの減少や前述の軽油価格の高騰等で、事業者を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 こうした厳しい経営環境にありますが、業界内部の改善の取り組みとして「共同点呼」の導入が施行されます。これは「貨物自動車運送事業に係る輸送の安全に関する業務の管理の受委託について」の自動車局長通達で地方運輸局などに発出しました。2013年11月1日より施行されます。「共同点呼」の実施により、トラック団地等トラック運送事業者が多く集まる地区における活用や共同輸配送等と合わせた改善が期待されます。共同点呼の対象業務は、①乗務前点呼②乗務後点呼③アルコール検知器の備付、常時有効保持および活用④点呼の実施記録および保存、に係る業務です。委託営業所はGマーク事業所(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定している安全性優良事業所)等が対象となります。

 今後は軽油高騰に加え消費税の問題も控えておりますが、生活に必要なものは全てトラックが運んでいるといっても過言ではありません。国民の生活を支えるライフラインとして、日本の物流事業の中核的なトラック運送業は、行政や社会全体で当業界の従業員待遇の改善等に取り組むことが求められています。                         (中村 實)

※「全日本トラック協会」ホームページより

東日本大震災における一般廃棄物の現状

東日本大震災により膨大な量の一般廃棄物が発生しました。今回の災害で2つの大問題が浮かび挙がっています。1つは災害廃棄物であり、もう1つは放射性セシウムを含んだ焼却灰です。

1.災害廃棄物等(がれき)
廃棄物処理法では、産業廃棄物の種類を定めており、定められた以外の廃棄物は一般廃棄物となります。そのため、自然災害に伴って発生した災害廃棄物は「一般廃棄物」として市町村が処理することになります。被災地の復旧・復興のためには、膨大な災害廃棄物等の迅速な撤去・処理が大前提となります。2013年5月までにより正確な把握が可能になったことから、災害廃棄物・津波堆積物の量の精査が行われてきています。特に甚大な被害を受けた岩手県・宮城県、福島県において処理する災害廃棄物(約1,582万トン)・津波堆積物(約1,008万トン)は合計約2,590万トンです(東京電力福島第一原発周辺は未集計も有り)。災害廃棄物の処理量は、2013年3月末時点で、約924万トン(約58%)、津波堆積物は、約319万トン(約32%)です。岩手・宮城の両県は2014年3月を目標に処理を終了予定ですが福島県は困難なようです。被災地では、仮設の焼却場等を設置し処理を推進していますが、なお処理能力が不足しており、広域処理が必須になっています。2013年3月時点の災害廃棄物等の受入れ先は1都16県です。1日も早い復旧・復興には全国民の理解が必要です。(福島県は県内処理)

2.放射性セシウム含んだ焼却灰
東京電力福島第一原発事故の影響から、周辺より放射線量が高い「ホットスポット」になっている首都圏各地、特に千葉・東葛地区(松戸市、流山市、柏市など)においてごみ焼却場の焼却灰から国の基準を超す放射性セシウムが検出され最終処分場への埋め立てがストップしている状態が続いています。現在、仮保管施設に保管されている焼却灰は柏市370トン、流山市404トン、松戸市772トンです。他市も同様の状況下にあり、仮保管施設は満杯状態となっています。柏市は新たな保管場所として遮へい率99%減といわれている厚さ30センチの鉄筋コンクリート造の仮保管施設(写真)を設置していますが、この状態が続くと焼却場の稼働が停止し市民生活に大きな影響を与えるおそれがあります。このため、千葉県は一時保管施設を設置し、2012年12月より3市合計で1か月あたり約200トンの焼却灰の搬送を開始しました。また、剪定枝や草に放射性セシウムが含まれているため分別収集しており、これらの保管場所も必要になり、費用も膨大になることから、柏市などは指定廃棄物の処理責任者である国に対し最終処分場の確保を求める要望書を提出しています。
 (斉藤武志)

企業再生とは何か

 平成20年秋以降、日本の金融経済は急速かつ大幅に悪化しています。地域経済の再建を図る目的で、21年10月に株式会社企業再生支援機構が設立されました。有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業再生を支援するということでした。この法律は、日本航空が再上場を果たしたという事例に限ってみれば役割を果たしたかに見えます。しかし、中小企業が日本経済の担い手の多数派であることをデータ(中小企業は企業数で99.7%、従業員数で66%を含める)が示す通り、この法が果たした役割は道半ばと言わざるを得ません。そこで、24年3月、中小企業金融円滑法の最終期限が延期されたことを機に、25年3月、法の再改正がなされました。事業再生支援に係る決定期限をさらに5年間延長する等の改正がなされるとともに、従前からの事業再生支援に加えて、地域経済活性化事業活動に対する支援に係る業務を担う支援機関へと改組され、商号も、株式会社地域経済活性化支援機構に変更されました。
 支援業務の中味についてみれば、25年の法改正により、従来の返済猶予の特例は廃止されましたが「有用な経済資源を有しながら過大な債務を買っている事業者」については、新支援機構は3年以内から5年以内へと支援期間を延長するという足の長い事業再生支援を可能としました。
地域経済活性化事業活動支援については、その実施に至るまでの金融機関の事業再生子会社への出資を通じて行う等、平成30年に骨子が固まります。
ここで、政府のこの法の変遷から見てとれる、「企業再生」とは何かという問いがあります。
 まず第一に、「有用な資源を有しながら」過大な債務を負ってしまったのは、その資源を有用に活用できなかった経営に原因があったであろうことは、容易に推測ができます。つまり、経営の優劣は、「人材」を最大限に機能させるかどうかにかかっています。さて、その人材についてですが、無機質やイエスマン型の人材をいくら揃えても「有用な資源」を再生につなげるパワーにはならないでしょう。その意味で、企業再生を実現させるのは、情熱を持った、異質な、有機質の、燃える力であると考えます。経営と言えば、トップマネージメントが大事だということは昔から言われてきましたが、トップに求められる資質は、大企業であれ中小企業であれ、方向性を見誤らない「知」、異質な個性に火を付ける「人間力」でしょう。これからの企業再生に必要な力は、ボトムアップマネージメントではないかと考えます。

秋田大学産学連携推進機構
客員教授 白滝 一紀

腕時計はどこへ行く

1.腕時計の目指す方向
 宝飾的な用途を別にすれば、腕時計の目指す方向は「刻時精度向上」、「多機能化」、「自動化」、でした。「刻時精度向上」は水晶発振器の採用で月差数秒という日常生活では十分な精度が得られるようになりました。「多機能化」については、機械式腕時計の時代からストップウオッチ、月齢表示、カレンダー等が実現されてきましたが機械式腕時計で、これらの機能を実現するには非常に複雑な機構と高度な技術を必要とし、この種の腕時計は非常に高級・高価な時計でした。しかし、電子式腕時計になるとマイクロプロセッサやセンサーが組み込まれることによってストップウオッチ、月齢表示、永久カレンダー、ワールドタイム、気圧・高度・温度の表示、心拍計や歩数計の機能まで持つようになり、安価に多機能腕時計が実現できるようになりました。
 「自動化」については、動力源を太陽電池にすることでひげゼンマイの巻き上げやボタン電池の交換が無くなり、人手を必要とする操作は時刻合わせだけになりましたが、これも、腕時計にアンテナを組み込んで標準時刻電波を受信、これに基づいて時刻を自動修正する「電波腕時計」が出現したことで自動化が達成されました。国内のみでなくマルチ電波対応の腕時計では国外(米・欧・中)での標準時刻電波受信が可能となっています。

2.腕時計はどこへ行く
「刻時精度の向上」、「多機能化」、「自動化」がほぼ達成された今、腕時計は次にはどこに向かうのでしょうか。ここで着目されるのが、腕時計にマイクロプロセッサやアンテナが内蔵されたことです。情報の受信と処理ができるようになったため、これに発信機能を付加することで「情報端末」への道が開けたといえます。この情報端末化された腕時計を「スマートウォッチ」と呼びます。ソニーは2007年にBluetooth対応のスマートウォッチを発売、さらに新型のスマートウォッチ2を今年9月に発売すると発表しました。これは腕時計をスマートフォンやタブレットとBluetoothで接続して通話やメール・各種メッセージやSNS更新の通知と確認、音楽リモコン等の機能を持つものです。同種のスマートウォッチはカシオやシチズンからも発売されています。さらに間もなくアナウンスがあるのではないかと噂されているのがアップル社です。同社からは特許出願がされたり、世界数か国で「iWATCH」という商標登録がされたりしています。機能やデザインは不明ですが、情報端末としての機能が強化されたものであることは間違いないでしょう。はたして2014年は普及の始まる「スマートウォッチ元年」となるのでしょうか。
(谷口 糺)

3Dプリンタによる新たな市場の開拓

 最近、一つのキーワードとして「3Dプリンタ」が雑誌やネットなどで取り上げられていることを見かけるようになりました。

 週刊東洋経済の2013年1月12日号に、「メイカーズ革命」の特集が組まれています。そのなかで、新しい「メイカーズ」が次々に生まれているとして、中小企業者の成功事例を載せていますが、金型の代替品といっていい「3Dプリンタ」のことも大きく取り上げています。

 クリス・アンダーソンが『MAKERS 21世紀の産業革命がはじまる』の中で、彼の母方の祖父が「自動スプリンクラーシステム」に関する特許を申請・取得し、その権利をメーカーに売ってロイヤリティを受け取ったが、そのことを彼は祖父のことを発明家であり起業家ではないと述べている。また、現在の彼ならばそれを自分で生産し販売する「メイカーズ」であり、企業家になっていただろうと言っています。ここで「メイカーズ」とは、文字通り製造者のことです。通常、製造者のことは「メーカー」といっていますが、従来のメーカーとの違いを出すためか英文スペルは同じでも、この書物では「メイカーズ」と訳されています。さらに、彼はデスクトップ工房“4種の神器”として、3Dプリンタ、CNC装置、レーザーカッターそして3Dスキャナーを紹介していますが、特に3Dプリンタは21世紀のモノづくりを大きく変えるイノベーションと言っています。

 ところで、『業種別「超」把握法』* の第1章金型製造業で、金型の代替品として光造形があるということをふれています。その内容は「金型は量産品の生産に最適な道具であり、現状は金型に替わるものは出ていないので、この脅威は少ないですが、強いていえば試作品レベルでは、光造形 * がこれに該当するものと考えられます。3次元のデータから表面だけでなく裏表完全な立体物として成形を可能とした光造形技術の進歩により、短納期で複雑な形状が必要な試作品レベルでは、この技術を使って製造することが有効です。」ということでした。しかし、現在は、3Dプリンタというものが開発され、またその生産設備も市販化されるなど、個人であっても光造形よりも手軽に試作品や一品ものを制作することができるようになっています。なお、光造形も3Dプリンタの一種ということもできます。 

 従来、例えば自動車メーカーは、粘土や木材などで手間暇をかけて新製品の試作品を製作しており、何か月もかけて製作していましたが、今後、さらに3Dプリンタの技術革新が進むことにより、試作品を容易に短期間で製作できるようになると思われます。

 3Dプリンタが出現した当初の材料のほとんどは樹脂でしたが、最近は、樹脂以外の材料も加工できる3Dプリンタが開発されています。また、3Dプリンタが対象としている分野も拡がりを見せており、おもちゃから、家庭用電化製品、自動車、宝飾品、歯科矯正などさまざまな分野に至っています。このような状況のなか、アメリカはもとより日本でも3Dプリンタの出現をビジネス好機とみて企業家の動きも盛んになっており、3Dプリンタ関連で起業するケースが増えてきています。商品寿命が短くなっていく中で、商品開発サイクルも短縮を求められています。そこで、金型製造業者も3Dプリンタの出現を脅威ではなく機会と捉えた上で、3Dプリンタを導入すれば、新たな顧客・市場を開拓できる可能性が高まると思われます。

(井上美夫)

和製静脈メジャーを目指して―T社の取り組み

1.産業廃棄物処理業の実態
 日本における廃棄物処理は、1970年に制定された廃棄物処理法を核とする法整備・規制強化とともに歩んできました。小規模な業者が多いとされる処理業者。その数は全国で10万社程度と推定されていますが、専業者の平均は売上1億3千万円、従業員数10名(環境省調べ:2010年)に過ぎません。市場規模は年間5兆円、全体の約4%の業者が50%の売上を占めており、大手に集中する傾向がうかがわれます。リサイクル意識の高まり、技術の進展により、廃棄物の発生量は減少傾向にあり業界間での熾烈な競争は今後も激化、業界の整理・淘汰は避けられない状況にあります。

2.新たな動き―環境省の掲げる「静脈メジャー」の海外展開とは
 静脈メジャーとは、インフラ輸出促進という我が国全体の成長戦略の一環です。廃棄物では国内最大手でも売上規模は300億円程度であり、アメリカの最大手であるウェイスト・マネジメント社の売り上げ1兆円には遠く及びませんが、リサイクルビジネスという拡大した概念ではDOWAグループやJFEエンジニアリング(株)は売り上げ規模3000億円と世界を舞台に活躍しています。環境技術では世界トップクラスともいえる日本、国内の処理業者でも、やり方次第では十分に進出の機会はあると思われます。

3.専門業者の可能性
 中小企業中心の産業廃棄物処理業者による海外展開を後押しする手法としては「コンソーシアム方式」が考えられます。例えば収集運搬・中間処理・再資源化などの各分野で強みを有する国内事業者が連携を図りつつ、協業化により現地企業との合弁事業を実現することは十分可能です。
 国内の大手業者の代表格であるT社は創業から47年、建設現場から発生する廃棄物についてリサイクルを中心とした処理事業を首都圏で展開し、「収集運搬~中間処理・リサイクル~最終処分」まで一貫処理体制をいち早く確立するなど、業界を常にリードしてきました。2007年にマザーズ上場を経て2012年には東証一部に上場。上場を機に事業領域と事業地域の拡大戦略を推進、グループ企業16社の企業集団となりました。今後も資源循環型社会への貢献と地球環境保全に向けて、新規事業の展開や、M&A、同業・異業種を含めた協業スキームの構築による更なる事業分野の拡大を図り、限りなく再資源化に挑む「総合環境企業」を目指しています。

 4.まとめ
 アジア諸国の成長や環境市場の拡大は明らかであり、その市場に打って出るためにも和製環境メジャーの形成は急務です。人口減少や高齢化など国内市場が頭打ちにある今こそ、官民あげた海外展開が業界全体の成長を実現する必要条件となります。T社のように、国内基盤を固めつつ、海外展開をうかがう専業者が陸続とあらわれてくることが期待されます。

(千葉 芳照)

輸送用機械器具の進化と昨今の市場動向

総務省統計局発表の「事業所・企業統計調査産業分類一覧」によると、「輸送用機械器具製造業」は、以下の6業種で構成されています。
① 自動車・同附属品製造業
② 鉄道車両・同部分品製造業 ③ 船舶製造・修理業,舶用機関製造業
④ 航空機・同附属品製造業 ⑤ 産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業
⑥ その他の輸送用機械器具製造業
難しい漢字表現が並んでいますが、要は、自動車、鉄道車両、船舶、航空機といった、陸・海・空の乗り物を製造する業種であるといって差し支えありません。 これらの輸送機械の使い分けを、横軸に移動速度、縦軸に輸送量(旅客数、貨物積載量) でマップにすると、下図のようになるでしょう。

縦・横軸ともに対数尺になっていますが、これを見て判るのは自動車、鉄道車両、船舶、航空機が、輸送効率を補完し合いつつ、見事に棲み分けをし合っているということです。
また、東京を起点にして徒歩、自動車、新幹線、飛行機で、1時間で何処まで行けるかを日本地図上に示したのが左下の図表です。
移動距離は、移動速度で自動的に決まります。徒歩速度を基準に1とすると、概略値ですが自動車は20倍、新幹線は62倍、飛行機は225倍になります。 また、可動面積(範囲)は移動距離をrとすれば、πr2で求め られます。
この式を、人間が1時間で歩く場合の、徒歩圏を日本地図上に示すと、小さな点にしかなりません。
これを基準に他の乗り物の移動可能面積を求めると、自動車は約400倍、新幹線では 4,600倍、飛行機では5万倍以上の面積をカバーし、徒歩に対して膨大な行動範囲を可能としてくれます。まさに可動面積が対数尺的な拡大をしていることが判ります。
人は、アフリカ大陸で発生した猿人から原人になり、その一部が2本足歩行を始め(ホモ・エレクトス)、森林から平原へと生活領域を広げ、さらに新人(ホモ・サピエンス)となって以降、農耕文化が定着するまでは、移動することで食物を得、生を維持してきました。その意味では、人は移動する存在として進化をしてきたといっても過言ではなく、それが輸送機械により、400~5万倍に拡大したという事実は、輸送機械が、人間の知恵と技術進歩の象徴である、ともいえるでしょう。

これら輸送機械器具には、それぞれに長い進歩の歴史がありますが、最近のトピックス的な動向を以下に概説します。
1、自動車
開発競争の真っ只中で、各社は直近のハイブリッド車の発表だけでなく、モーターショーなどの機会を捉え、将来の小型電気自動車のコンセプト発表も。電気自動車用の電池やモーターの開発で、各社ともしのぎを削り、燃料電池など将来技術で他社との提携も盛んになってきそうです。
2、鉄道車両
国内では北陸新幹線の金沢までの開業が大きな話題です。海外からはインド、ベトナムなど新興国からの新幹線建設の引き合いや台湾高速鉄道延長工事の受注、米国の地下鉄車両の受注もあり、日本の鉄道技術の優位性と競争力を示しています。
3、造船
船舶建造能力が需要の倍にもなっているため、受注競争が厳しく、単独での生き残りも無理と見た他社との合併も不可避な状況です。他社との合併への抵抗で、役員解任の揉め事も新聞沙汰になり、新たな合従連衡の動きも出始めています。
4、航空機
ボーイングの最新鋭機B787が、リチウムイオン電池の発煙問題で飛行停止。飛行再開はされましたが、原因究明には不透明感が残って居るとの見方もあります。  この間にエアバスが、B787の対抗馬ともいえるA350の売り込みと日本のエアラインをターゲットに、巻き返しに出ています。一方、ホンダ、三菱の国産ジェット機は、順調に量産準備の段階に入りましたし、炭素繊維素材など、航空機の軽量化構成部品技術は順調に成長して
います。

造船業界は過剰船腹の背景の基、経営に苦労をしていますが、それ以外は国際的競争力を維持し、健闘していると言えるでしょう。新聞記事の見出しは端的にその記事内容を表現しますので、上記概説の根拠となった最近の雑誌、新聞記事見出しを以下に添付します。

<参考資料>
1,自動車
・富士重2期連続の営業利益最高;自己資本比率40%超(日本経済新聞H25.5.29)
・欧州SUV/PHVシフト;ジュネーブ自動車ショー(日本経済新聞H25.3.7)
・クルマ生産中国を最大に;GMやVW内陸に新工場(日本経済新聞H25.5.21)
・日産と三菱自 軽3強に挑む;新型車を共同開発(日本経済新聞H25.6.7)
・ケニアでトラック生産;アフリカ市場開拓 日野・三菱ふそう(日本経済新聞H25.6.4)
・エコカー競争加速;NY自動車ショー開幕(日本経済新聞H25.3.28)
・エコカー電池 日独連合、ボッシュ・GSユアサ、三菱商事(日本経済新聞H25.6.20)
・ホンダ、GMと提携;燃料電池車を開発、2020年めどに発売(日本経済新聞H25.7.2) 2,鉄道車両
・ロシア版新幹線計画加速;総工費3兆円2018年完成目標(日本経済新聞H25.6.3)
・北陸新幹線新時代へ胎動;2015年春 金沢まで開業(日本経済新聞H25.6.8)
・インド新幹線受注の公算;シン首相経済団体と会合(日本経済新聞H25.5.29)
・ベトナムで鉄道受注;日立、車両設備を370億円で(日本経済新聞H25.6.11)
・鉄道車両130両受注;住商、米で総額80億円(日本経済新聞H24.11.8)
・川重地下鉄車両100両受注;ワシントン首都圏交通局から(日本経済新聞H25.5.17)
・台湾高速鉄道の延伸;東芝・三菱重が受注(日本経済新聞H25.6.25)
・新幹線の高速化、FASTECH360による技術開発(日本機械学会誌H24.3、Vo115)
3,造船
・日中韓の造船 受注回復;景気上向き期待で(日本経済新聞H25.5.29)
・川重・三井造船統合交渉;連結売上高2兆円(日本経済新聞H25.4.22)
・迫る造船危機 再編促す;来年にも建造ゼロ、川重三井造船(日本経済新聞H25.4.23)
・造船重機生き残れるか;デパート経営にメス(日本経済新聞H25.5.16)
・新たなM&A模索;三井造船次期社長(日本経済新聞H25.6.18) ・造船再編、IHI軸に(日本経済新聞H25.6.24)
4,航空機
・B787国内運航再開;全日空が臨時便4ヶ月半ぶり(日本経済新聞H25.5.27)
・小型ジェット機最終試験成功;ホンダジェット順調飛行(日本経済新聞H25.5.22)
・ボーイングが787改善案提示;米当局運航再開に慎重(日本経済新聞H25.2.24)
・航空機エンジン部品増産;川重6割、IHIは1割アップ(日本経済新聞H24.10.7)
・787緊急着陸;電池内異常高熱が連鎖(日本経済新聞H25.2.6)
・三菱重工旅客機エンジン国内生産;機体と一貫体制(日本経済新聞H21.10.29)
・新型エアバス 日本に照準;ボーイング牙城で攻勢(日本経済新聞H25.6.18)
・三菱航空機;MRJ 米に品質管理拠点(日本経済新聞H25.6.20)
・小型ジェット年110機体制;ホンダ17年度フル生産(日本経済新聞H25.6.27)
・炭素繊維複合材を増産;東レ能力2倍に(日本経済新聞H25.7.5)      以上
(笹倉靖生)

拡大し続けるBtoC-EC市場、更なる次の一手

 インターネット付随サービス業の代表的市場であるBtoC-EC市場(消費者向け電子商取引市場)の2012年度市場規模は10兆円を越える勢いであり、ネットでは今や日常生活で購入できない物がないほどに拡大しており、スーパーやコンビニエンスストアの売上げに肩を並べるほどの成長を続けています。そして、その背景には何と言ってもスマホの急速な普及があります。

 また、どの程度電子商取引(EC)が浸透しているかを示すEC化率(小売業とサービス業の値)も、比率はまだ低いものの右肩上がりで拡大しています。

  この様にネット社会が伸びる中、実店舗の経営に影響しているのではという疑問も生じますが、現状は、ネット情報(商品の価格・評判・割引情報など)の発信や位置情報の利用で実店舗への集客を促す手法のO2O(Online to Offline)サービスに注目が集まり、そのO2O市場は野村総合研究所が平成12年度に約30兆円、平成17年度に約51兆円と試算しており、驚くほどの拡大を予想しています。
 即ち、仮想店舗か実店舗かの対立軸の構図でなく、その垣根を越え互いに相乗効果を持つ一段階上の観点による構図が登場しつつであると言えます。

 しかし、中小・小規模企業の小売業・サービス業・流通業等にとっては、O2Oソリュウーションを単独で導入するにはまだハードルが高い状況です。
しかしながら、次なる戦略の観点からは、何らかの行動は不可避であり、例えば、商店街、地域、同業者、異業種、業種内外バリューチェーン企業などによるグループ化、共同体化を仕掛け、その中かでO2Oソリューションを活用する動きをすることも重要な方向性の一つだと言えます。

 更に、その戦略を強固にする手法として、ビックデータの活用があります。
ネットからの顧客情報(頻繁に閲覧するサイト、定期的に購入する商品、使用感のブログへの書き込み、個人の属性など)や店頭からの顧客情報(来店動機、比較した結果買わなかった商品、将来欲しいと言った商品、商品を購入したPOSデータ)、そして、買い物迷いの画像データ(ゲーム機のキネクト技術を応用した行動自動計測データ)などの膨大なデータ(ビックデータ)を解析し、価格設定や品揃えをダイナミックにコントロールしてO2Oで発信する仕組みを構築する手法なども考えられます。
しかし、ビックデータの活用はまだ少数派で、大企業中心であり、中小、小規模企業では、入手できるビックデータは、自治体のオープンデータがあるもののまだ限定的であり、システム構築もハードルが非常に高い状況です。

 ただ、ビックデータの取り扱い如何で経営を左右するケースも考えられ、中長期戦略として、今から何らかの活動を始めておく必要があると言えます。
 そして、その仕組みを構築し、世の中に浸透させる担い手として、大企業の独壇を許してしまうのでなく、中小のインターネット付随サービス業も自らの主要テーマとして考えていくことも肝要です。例えば、前述の複数企業のグループ化や共同体などでビックデータを収集し解析することにより、大手企業と違った道が開けるかも知れません。

(保坂峰夫)

双方向の拡散を

 一人が大きくなりました。
 人が個人であることのアイデンティティとでもいうようなものが、ずいぶんと世に確立されてきたように思います。
 一人でできることが増えました。一人で何かをすることで他人から奇異な目で見られる傾向は薄れました。食事店や映画などに一人で通う「おひとりさま」も増えています。独身でいることもそう特殊ではありません。働き方をとっても、組織であることの優位性は一昔前に比べて低くなりました。この流れの延長線に、近年注目されるノマドワーカーもあるでしょう。
 一人でいることは弱いことではなくなっています。

 しかし、一人ひとりが強いのではありません。
 一人の力よりも、実は、それまで以上に他者の力が重要視されています。
 さまざまに発達した文明の力や、手厚い社会のサービスを活用していくことの利便性に個々が気づいたことに、一人の存在感が増した背景があります。
 増えてきた個人事業者たちも同じです。過去には個人事業というと限られた形態であったかもしれませんが、今では随所にサポート体制が整っています。
 一人は、自身の弱さに気づき、他者の力を積極的に使ってきています。だからこそ、たとえ一人でいたとしても、その何倍もの力を発揮できるのです。

 これは業種に捉えなおしても同じことでしょう。
 どの業種もその歴史のなかで、仕事の進め方は大きく進化し、スピード化、効率化が図られてきたことかと思います。ただし、その進化の多くは自身のみの力ではなく他者の力が必ずありました。
 今後はさらにそれを進めていくべきです。自社が持つ弱みは他社で補うという、外部連携の考え方は広まってきてはいますが、まだまだ協力し合う相手はいるはずです。

 これは、昨年好評いただいた、経営コンサルタントおよび中小企業診断士など当法人会員によるリレー形式コラムの第二弾です。業種間連携による新戦略、地域密着型の注目業態などを採り上げることで一業種ごとの実態を紹介します。
 自業種はもちろんのこと他業種についても他山の石としていただき、本連載を皆様の日常業務にお役立て頂ければ幸いです。

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